2006/12/28

■ 熱海市の人口回復問題 − 熱海市のまちづくりと外国人政策 −

 
「週刊文春新年特大号に猪瀬直樹さんが『隠れ借金7兆円で夕張化する町』という記事を書いています」とタックさんからのメール。
どうやら猪瀬さんが熱海の市政につっこみを入れたらしい。仕事からの帰り、コンビニに寄って、レジに並ぶ。電車内で一読。タックさんのくれたコメント通り、猪瀬さん、いいこと言ってんな、。

今日は外国人政策研究所の坂中英徳研究所長を訪ねていた。坂中所長は昨年まで東京入国管理局の局長を務め、退官後に外国人政策研究所を設立、日本の少子高齢化と外国人の受け入れに関する諸問題への政策提言など、研究や講演、執筆活動を精力的に展開している。「ミスター入管」として知られ、テレビや新聞、雑誌など、メディアを賑わし続けている人物である。

国勢調査によると、2000年現在での熱海市の人口は42,936人、国立社会保障・人口問題研究所による測地では、熱海市の人口は2010年に37,847人、2020年に32,732人、そして2030年には27,219人まで減少することが予測されている。

これを受けて熱海市では人口を5万人台まで回復させることが掲げられ、再定住の促進に向けた取り組みを見せている。しかし日本全体の人口減少化、またさらに全国各地の移住誘致合戦を受け、行政の内側からは5万人台の人口回復は不可能だという声も聞こえてくる。

加えて熱海市では65歳以上の人口比率が32%を超え、それを受けて医療と福祉の環境整備の必要性が叫ばれてはいるものの、たとえば看護士の不足とその獲得競争の全国的な激化を前に、今後どのような具体的対策を練っていくのだろう。

同様に、観光業において、市では観光客を増やすことが叫ばれても、では観光客を迎えるサービス業に従事する人々は、今後どのように確保していくのだろう、、。人件費を削り、従業員を減らし、どのように顧客の満足度を高めていくのか、、。

坂中所長を訪ねたのは、熱海のまちづくりはもはや外国人政策の議論とセットであると感じているからだ。たとえばこれから、日本はフィリピンとの間に結ばれた経済連携協定(EPA)によって年明けから看護士の受け入れが開始されるが、熱海が福祉のまちづくりを考えようとしている時、こうした国の方針はその大前提として据えることは必然である。

熱海の人々は思い出さなければならない。熱海市の繁栄に最も大きな功績を果たした丹那トンネルは、朝鮮半島から渡ってきた多くの労働者達の力を借りた作業だった。市ではこの事業に携わった人々を平等に評価し、記念碑には「日本人」と「朝鮮人」の名前が共に並び刻まれている。

「週刊文春」で猪瀬さんが記しているように、高齢者の割合が3人に1人という熱海市において、税収の先行きは暗い。1人当たりの借金返済高は、すぐに100万円に達することが現実的だ。

こうしたことを考える時、丹那トンネルの経験を思い起こせば、実質的な「市民」として「外国人」をむかえ入れ、その力を借りることは、熱海市の現実的な1つの選択肢とされてもおかしいことではないだろう。「人口回復」についての議論は、「日本人」だけを対象の範囲として捉えるのではなく、「外国人」も含めたそれでなければと思えてならない。中国や韓国からの誘致など、観光客の獲得ばかりをグローバルに考えるのはナンセンスだ。

しかし熱海市の議会を見る限り、こうしたことはまったく考えられていないという印象を覚える。気付いてさえいないのかも知れない。市の掲げる「おもてなしのまち」というスローガンは、二枚舌のそれなのだろうか、。どちらにせよ、このテーマに関しては具体的な提案の用意を進めていきたい。

「財政危機宣言」以降、メディアで熱海が騒がれている。熱海は内部でゴタゴタしているが、これは喧嘩の種ではなく、ぜひ、前進のための機会に、。由緒ある温泉と同じように、どうせ怒りを沸騰させているなら、沸き出し暖めるものであってほしい。

さて、ペコさんが中国から熱海に帰ってきた。年が明けたら、皆で熱海で鍋でもやりましょうと挨拶。楽しみにしているとの返事。その日が待ち遠しいばかり、。

あと少しだ、、。


フ=
 

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