2007/01/31

■「財政危機宣言」とは何だったのか

 
今月1月26日、昨年発表された熱海市の「財政危機宣言」が「財政再建スタート宣言」に変更された。「財政危機宣言」をめぐっては賛否両論あったけど、「よかった」とか「悪かった」とか、そうじゃなくて、あれは「必要」だったんじゃないか。「あんな言い方ないだろ!」と怒っても、「要らねぇだろ!」とは怒らなかった。確かに「撤回」を求める動きはあったが、それは「言い方」に対するものだったようにみえる。

たとえば健康診断だ。検査の結果を受けて、お医者さんが患者に対して「ちょっとお酒を控えなさい」と注意する。「財政危機宣言」は、これと同じだ。「このままいったら糖尿病になっちゃうよ?」という注意である。だから内容そのものは間違っていない。問題になったのは「行為」であって、「内容」ではない。そのあたりがごちゃ混ぜになっているように感じる。

禁煙と断酒に効くのは何か− 。答えは簡単、「危機」である。「危機宣言」、よかったんじゃないのかな。



言い方がきつかった



「熱海市財政注意報」


市長は市民に焦点が、観光業界や経済界は、観光客の目を意識した。表向き、対立の根はそこにある。















むしろまずいのにまずいと言わなければ、市長の「正直さ」と、経済界、つまり商売人の「」

「現実」と「イメージ」の対立

「財政危機宣言」は、熱海の将来に向けた危惧と警鐘を響かせるためには必要だったし、活気のある熱海の未来を熱海の市民自らが築き上げるためには不可欠だった。「スタート」の下に、人は1つになるだろうか。「ちょっとまずいですよ」の下に、

熱海に足を運ぶ人々にそんなまちを届けるための

間違っちゃいけないのは、「財政危機宣言」は前を向いた処置であって、後を向いたものではなかったということだ。
「言葉」っていう「パッケージ」をめぐって喧嘩してたんだら、ってことは「印象」をめぐった問題で、だから名前を変えて一件落着

けっしてネガティブなものではなかったってことだろう。「スタート宣言」に置き換えがきくということは、表裏一体だったってことで、「スタート宣言」がOKなのであれば、
一枚のコイン

「財政危機宣言」が飛び出す一方で、新しい胎動を始めていたのが「熱海市観光戦略室」。「戦略室」の設置は、選挙の時から市長が掲げた公約であったように、これら2つは互いに連動しながら、かつ、補完し合うものだ。

「財政危機宣言」と「熱海市観光戦略室」は、もともと表裏一体。どちらも新しい市長の誕生によって生まれたものであり、本来別々に区別されるものではなく、セットになって1つの意味を成すものに他ならない。「危機宣言」は「標識」であり、「戦略室」は、「車両」である。どちらが欠ける話ではないだろう。

そういう意味で、「財政危機宣言」の発信は、まだ片方の目が開いただけの段階に過ぎない。宣言をしっかりと次の展望につなげられるかどうか、それはこれからの具体的な努力次第である。

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