2007/04/01

■ 熱海市観光戦略会議市民委員会 公募申込み

 

 
3月31日。この日、僕は観光戦略会議市民委員会の公募に応募を済ませた。応募受付が発表されたのが3月10日。それから3週間、何を書こうか、随分悩み考えてきた。

まちづくりの具体的なアイデアや、あるいはこれまでの活動について書くにはあまりにもスペースが足りず、ならばと理論的な専門用語を並べるのも堅っ苦しくて、そもそもそれは読み手にしっかり届かないだろうし、あんなこんなしてる間に、7通りの文章が出来上がっていた。

どんなことを軸に据えて話を展開するのか、一番大事なことは何だろう、何かを感じて動いてきたはずだし、その衝動は何だったろうか。

答えはじつにあっさりやってきた。

これまでの活動記録をまとめたファイルや、手記、とにかくあらゆるものにヒントを探す中、自身の綴ってきたブログに目を通した時、「ぁぁ、そっか」と、僕は妙に納得する自分を見つけた。いつかの自分の言葉に、シンプルにこころを動かされたのである。ならば、これをそのまま届ければいい。

今回の応募作文は、そんな気持ちで書き上げた。審査のためというよりは、新年度を前に、自分自身を見つめ直すための作業だったように思う。今僕が抱くスッキリ感は、そのことを物語るだろう。

  
・申込み書類:審査原稿


以下:応募原稿そのまま


■ 今後の観光熱海のあり方について
 ひよっこのまなざし − 「観光客」と「住民」のはざまから −


家族旅行はいつもきまって熱海だった。市内リゾートホテルの会員に加入している父と母に連れられ、僕は幼い頃から四季折々の熱海に触れてきた。中でも夏のサンビーチと初島、そして夜の花火は、心象風景の1つとなって忘れられないものがある。

そんな熱海でまちづくりに取り組んでから、1年と2ヶ月が過ぎた。昨年、活動のベースとなるまちづくりの研究会を地域で起ち上げようと決めた頃、特にインターネットでの呼び掛けを通じて、色んな出会いが生まれる中、僕は自身のブログにこんなことを綴っている。

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熱海の何が駄目で何がいいのか、互いに匿名ながら、だけど真面目にコメントし合う数日間、色々と、考えさせられることがあった。

特に強く感じたのは、このインターネットの中でのやりとりが、できるならばウェブ上ではなく、熱海のまちの一角で、あるいは、新橋駅の赤提灯の居酒屋で、他の客のわいわいがやがや、そんな空気に雑ざって持たれることが一番大事じゃないかということだった。

人が集まり、言葉を交わし、そのラリーがやがて渦へと変わっていく。まちの活気というのは、それがつむがれることで膨らむものだと思えてならない。

このブログを起ち上げた時にも触れたけど、お米とお米が寄せ集まっておにぎりになるように、「集まり」といっても、お団子みたいなそれではなく、それぞれ個々人の輪郭をはっきりさせながら、だけど一つにまとまり機能していくチームづくりが、たとえば熱海が変わるためには必要なんだと感じるばかり。

ある程度、インターネットの世界はそれを実現させているかもしれない。だけどそれは、所詮画面の中での出来事にしか過ぎない。どんなにメールのやりとりを重ねても、男女の間に愛情が育まれたとして、しかし直に会うことなしに新しい命の誕生はないのである。

社会に革命が必要なくらいの強い圧迫が人々にのしかかっていない限り、メールだけのつながりから、何か、まちが様変わりするかのような動きが生まれることは期待できない。

「つながっている」ことと、「接している」ことは、違うんだ。ふとそんな考え事が僕の頭を訪れる。

熱海でのまちづくりの研究会は、お米の粒と粒がくっつくための場にしたい。そのために動いていきたいと思うし、そうでなければいけないと思う。

・ブログ「ブログを起ち上げてから」2006.12.9 より一部抜粋
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「研究会」を起ち上げてからは月に1度、定期的に熱海で集いを開き、僕はその言い出しっぺとしてあっちこっちを走ってきた。熱海で生まれ育った人、熱海を離れた人、熱海に移ってきた人、熱海に通い学んだ人、地域の内か外かを問わずに人を結び、立場を越え、まちを動かすために環(わ)をつくる。この「研究会」に託したコンセプトこそ、僕が今の熱海に求める観光戦略そのものなのである。

新しいネットワークを新しい方法で結び、地域を越えて人が集まり、企画し、実践する場を生み出さなければ、熱海は近い将来しぼんでしまうのではないか。僕はまだ三十路前のひよっこだが、建築や都市について学び、デザインやまちづくりに取り組む現場の技術者として、そのことを真摯に訴えてみたい。

「地元住民」を池の水に喩えるなら、「観光客」は、川の水だ。熱海は、この2つの水が混ざり合って脈を打っている。観光熱海のまちづくりは、「住」と「観」が力を足し合うそれに他ならない。


[結]






 

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